HANARARAT こあ

キュレーター審査結果

7月3日(水)、HANARART こあ キュレーター選考審査会が行なわれました。
中井 康之 氏(国立国際美術館 主任研究員)が審査員として、応募のあった11組の書類を厳正に審査され、
各ゾーンに1組ずつ計3組のキュレーターを選出されました。

中井氏から選出された各キュレーターに要望が出され、それらをそれぞれのキュレーターの方々が了承し、
この度正式に3組のキュレーターが決定いたしました。


展示ゾーン キュレーター氏名
堺町ゾーン
奥中 章人
(おくなか あきひと)

 

展示ゾーン キュレーター氏名
旧川本邸ゾーン
サラスヴァティ
(中田 洋子・松尾 寛・山中 崇寛)

 

展示ゾーン キュレーター氏名
柳町商店街ゾーン
銅金 裕司
(どうがね ゆうじ)


総評に代えて

中井 康之 (国立国際美術館 主任研究員)

今回の依頼を受け、「HANARART実行委員会」から送られてきた応募書類によって、審査会当日までに応募してきた各キュレーターの資料を精査してきました。
量の多い少ないはありましたが、それぞれに積極的な内容を提出していたので、私自身前もって準備をして、アート・プロジェクトとしての全体像を頭に描きながら準備をしました。
今回のプロジェクトでは、実施される郡山地区が3つのゾーンに分けられていました。しかしながら、このような「地域振興プロジェクト」は、地域全体を考えることが原則であり重要事項だと思います。ですから、それぞれのキュレーターが「自分が選んだ場所の特性を引き出すような形」で積極的な姿勢を見せている点では評価できるものの、地域全体のプロジェクトであるという大前提を捉えた場合には、各キュレーターは、やや近視眼的になっている嫌いがあると感じていました。

「実行委員会」は、そのような近視眼的な位置に留まることなく、「地域全体をどのように盛り上げていくのか」ということ、「アートがそこにどのように関われるのか」ということを考えて、今回決定した3人のキュレーターに対して上手に誘導していくことを期待しています。

そのためには、それぞれのゾーンを担当されるキュレーターたちにテーマ性を強く打ち出す為の「タイトル」の再考を促すことをお願いしたいと思います。

各ゾーンに担当キュレーターが決定した訳ですが、それぞれキュレーターは担当したエリア内のプロジェクトを充実させることのみを考えることではなく、他の隣接地域との連携や、また逆に違いを際立たせるなど、自分がやっているプロジェクトを大和郡山プロジェクト、さらには奈良のプロジェクトとしてどのように位置づけていくのかを考えるように実行委員会側が働きかけをしていって欲しいのです。

それによって、「HANARART こあ」というプロジェクトのクオリティがより高くなっていくように思います。このプロジェクトを成功裏に収めることで、次回更にいいものになっていく、という好循環にもって行くことができると思いますので、しつこいようですが、言葉(テーマやタイトル)をしっかり設定することによって、キュレーター・招聘された作家に自分達が何をやっているかということをはっきり認識してもらうようにしてください。

その為には、今回のプロジェクトをマネージメントし、コントロールする部署としての実行委員会が、キュレーターたちが出してきた言葉をそのまま受け取るのではなく、それがどのような意味なのかという問いを、キュレーター達に繰り返し投げかけることによって、双方が真剣に考えていく「場」を生み出すことになると思います。

互いにコミュニケーションを重ねることによって、自分が考えていたことを他人が代弁してくれるような効果も生まれてきます。もちろん、双方共に自らが考えていることもより明確となり、全体としてこのプロジェクトが「どのようなものであるべきか」ということを、もう一度それぞれが確認し合うことに繋がります。延いては、今回のプロジェクトが、自らのライフワークの中でどのような位置づけになるのかを考察することにも発展していくでしょう。

「はじめに言葉ありき」と聖書にもあるように、言葉が全てを生み出していく、というのも一面の真理です。

いい言葉が出てくることを期待しています。