「奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2023」開催にあたり、現代美術振興の役割を担う若手キュレーターの発表の場として、はならぁと こあ 宇陀松山エリアにて現代美術の展覧会を企画・運営するキュレーターを募集いたしました。選考の結果、以下のキュレーターに決定いたしましたことをお知らせいたします。
長谷川新(はせがわあらた)
1988年生まれ。インディペンデントキュレーター。今後のプロジェクトは「SPRING2023」「スピルオーバー」「ダンスとレボリューション」「吠える狂う絶叫する」「グランリバース」など。TOKYO ART BEATで「イザナギと呼ばれた時代の美術」を連載中&高橋沙也葉・松本理沙・武澤里映・長谷川新の4人でジュリア・ブライアン=ウィルソン著『アートワーカーズ(仮)』を翻訳中。
奈良・町家の芸術祭 はならぁと2023
キュレーター選考 審査員講評
現代美術分野の芸術祭は規模の大小を問わず各地で行われている中で「はならぁと」は10年を越える実績を積んできました。今回初めてキュレーター公募の選考に関わらせていただきましたが、選考にあたっては、キュレーター・アーティスト・鑑賞者=開催地域の方々・鑑賞者=来訪される方々といった四極の化学反応によって芸術祭の場に刺激が生まれ、地域の魅力が掘り起こされるとともに「なにか」が付加される…そういう期待を込めて臨みました。
最終的に選ばれた長谷川新氏の企画は、宇陀松山の「薬草のまち」という側面に注目しながら、そこから拡張していく可能性を感じさせるもので、応募の中では最も示唆に富むものであったと言えます。
安田篤生(奈良県立美術館 副館長)
私は、新型コロナウイルス感染症の影響が大きかった3年間、こあエリアのキュレーターとして環境問題や社会問題をテーマに展覧会を企画しました。来年度のキュレーターには新たな視点で過去3年間のテーマを深めていただくことを期待し、審査いたしました。
企画には、挑戦的かつ可能性を感じるものや、見てみたいと思う作家・作品が揃う企画が数本あり、最終決定は非常に難しいものでした。その中でも、現代社会の時間軸を汲み取られている長谷川新さんの企画は、宇陀松山でどのようなストーリーを紡いでいくのか見てみたいと強く思えるものでした。
今回は選ばれなかった申請者の皆様も、宇陀松山にリサーチにお越し下さり、テーマと向き合ってくださり、感謝を申し上げます。
内田千恵(はならぁと2020-2022 招聘キュレーター)
はならぁと2023 キュレーター公募にご応募いただいた7組の皆さま、熱量の高い企画をご提出くださり、誠にありがとうございました。
コンセプトの魅力、エコロジカルへの視点、サイトスペシフィック性、実現可能性など、これまではならぁとが大切にしてきた点を読み取りながら選考することは大変な作業でした。どれもとても良く練られた企画で、宇陀松山の特性を生かした企画も多数あり、大変嬉しい気持ちでした。
審査の結果、インディペンデントキュレーターの長谷川新さんが選ばれました。他企画と比較して、特に、現代美術としてもたらしてくれるであろう未来へ向けた「気づき」(価値観)が生まれるコンセプトを提案されている印象が強く、同時に、話題性をもたらすものと期待が膨らむ内容でありました。
今回、惜しくも落選となられた候補者の皆さまとも、今後も繋がりを持ちながら何かご一緒できればと考えております。今後ともはならぁとにご興味を持って下さいますよう、またご支援下さいますよう、何卒よろしくお願いいたします。
藤野正文(奈良・町家の芸術祭 HANARART 実行委員会 役員/公益社団法人 奈良まちづくりセンター理事長)